姉弟
 
「なあ、姉貴。どうして、俺たち、こんなことやらなきゃいけないんだよ」
 
これは、ひとつ違いの私の弟。
素直でいい子なんだけど…邪魔くさいことは、勉強でも何でもすぐにサボろうとするのが玉にキズ。
 
「なあに、不服でもあるわけ?」
 
 
「ん? せっかくの春休みだって言うのによ…近所のボランティアばっかりじゃねえかよ」
 
「いやなら、お父様とお母様にそう言いなさいよ。私は、全然いやじゃないわよ」
 
「そ、それが言えるんだったら、苦労はしねえよ」
 
「じゃあ、文句言わずにやりなさい」
 
ま、確かに、ちょっと今回のボランティアはきついわね。
 
「でも、ちょっと疲れたね、休憩しようか。これでジュースでも買ってきて」
 
「おっ、うれしいね、姉貴。じゃあ、行ってくる」
 
ほどなく、彼は缶ジュースを買ってきたので、それを持ってそばの石に腰掛けた。
私の自慢のツインテールの髪がそっと石をなでる。
 
「今回のは、ちょっときついけど、大体、あなたは、ボランティア精神がなさすぎるのよ。それとも、家で勉強でもする?」
 
「いや〜、勉強するぐらいなら、これやって…いててて、割れる、割れる」
 
まあ、今日は、このぐらいで勘弁してあげようかな?
この子も、もうすこし勉強すれば、成績も上がることは間違いないんだけどな…
どうも、やる気が起きていないんだな。
 
「まったく、手加減なしなんだから〜。はいはい、わかりましたよ。気持ちよくやらせてもらいますよ」
 
「ハイは一回」
 
「はい、じゃあ、早く片付けて、帰ろう、姉貴」
 
「そうね、もう一息だもんね」
 
そういって、私たちは、作業に戻った。
結局、結構、作業には時間がかかり、私たちが帰路についたのは、夕方になっていた。
 
家の門の前に差し掛かったときに、前から来た女性が声を掛けてきた。
お父様やお母様と同年代か、もっと若いかな?
 
「こんにちは」
 
「こんにちは、何かご用でしょうか?」
 
私が聞くと、その女性は、ニコニコしながら近寄ってこられた。
 
 
 
「ええ、おとうさんとおかあさんはいらっしゃいます?」
 
「はい、たぶん」
 
「よかった、突然来ちゃったし、いなかったらどうしようかと思ってたところだったんですよ」
 
「あの〜両親の知り合いの方でしょうか?」
 
「はい、幼馴染って言うか、小さい頃は、一緒によくあそんだんですよ」
 
そうなんだ、じゃあどうぞと家に案内した。
ん? ちょっと待てよ?
どうして、私たちがここの家の人間だってわかったんだろう。
 
「あの〜? どうして、私たちがここの人間だってわかったんでしょうか?」
 
「そんなの簡単よ。だって、あなた、おかあさんそっくりだから」
 
そう言って、微笑むしぐさはまるで少女のようだった。
全然、年齢を感じさせない人っているんだなぁ…。
 
え? そっくり? 私が…お母さまと…?
ああ、そうか、この方が知ってるお母さまの若いときにそっくりっていうことか…
ちょっとうれしいかな?
お母さまの若い頃って、とっても素敵ですもの…。
 
「そ、そうですか…。では、どうぞ、中にお入り下さい」
 
私は、玄関の引き戸を開けるとその人と一緒に、中に入り、帰宅の挨拶をした。
 
「お父様、お母さま、ただいま戻りました」
 
奥から、二人がでてくる気配がする。
 
玄関にでてきたお父様は、まず、私に声を掛けてくださった。
 
「おかえり、今日は遅かったね」
 
「ええ、ちょっと、時間がかかったものですから、それより、お父様、お母さま、お客様がいらしてます」
 
「お客様?」
 
お父様とお母さまは、そこで初めて、私たちの後ろの人を見つめた。
二人とも、一瞬相手が誰だかわからなかったみたいだった。
 
初めに口を開いたのはお母さま。
 
「こ、このみ? このみよね?」
 
「タマお姉ちゃん、覚えてくれてた? 久しぶり、タカ君も…」
 
「忘れるわけないじゃないの…ほんと久しぶりね。どうしてた?」
 
「このみ何年ぶりだろう、さあ上がってよ」
 
お父様も、かなりハイテンションね。
こんなお父様見るのも久しぶりかも。
 
「ゴメンなさい突然来ちゃって…ちょうど、近くまで来たもんだから…」
 
「いいから、いいから、はやく上がりなさい」
 
「茜(あかね)と蓮(れん)も早く上がってきなさい」
 
そうか、さて、今日は楽しくなりそうだわ。
タマお姉ちゃんとタカ君だって…
うふふ、いろいろ、お父様とお母さまの昔の話を聞かせてもらおう。
 
「さ、上がろうレン」
 

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ははは、ちょっとしたどんでん返しでしたが…タマ姉の遺伝子は強いのです。それにしてもどっかに、タマ姉みたいな女の子いないだろうか…

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